不思議 ++







 修行から帰ってきて夕飯までのみじかい間


リビングにおいてあるソファーに二人腰掛けて


テレビを見るのが日課になっていた。


…別にオラ テレビ見たいわけじゃねぇんだけどな


チチがこうして見たいって言うからいつのまにかそうなってた。


テレビに飽きたのかキョロキョロし始めるチチ。


ふと何かに気づいたかのようにオラの顔を見つめ始めた。


「…チチ?オラの顔に何かついてるか?」


「なぁ…悟空さ…。」


「ん?なんだ?」


チチはじ〜っとオラの顔を眺めて尋ねてきた。


「なんでおめ…ヒゲ生えてねぇの?」


「は?ヒゲ?」


唐突なその質問に驚いた。


「突然どうしたんだ?」


「だって…男の人って普通生えてるべ?おらのおっ父だって生えてんのに なんで悟空さには生えてねぇの?」


…そういえばそうだな。なんで生えてないんだろ?


「でもよ、生えてねぇ奴だっているじゃねぇか。ヤムチャもクリリンも生えてねぇぜ?」


「あれはきっと剃ってるんだべ。悟空さが剃ってる所おら見たことねぇもん。」


「だってオラ剃った事ねぇもん。」


当たり前のように答えるとチチは口を膨らませた。


「だから不思議がってるんだべ。」


そう言ってスラリと手を伸ばしてきて


オラのアゴをさわってきた。


「うーん…。全然ねぇべ。チクリともしねぇ。」


そこから伝わるチチの手は少しひんやりしていて心地よかった。


「オラにヒゲあったほうがいいか?」


「う――ん…。」


うでを組み考え込むチチ。 しばらくすると笑い出した。


「あははっ!ダメだべ。悟空さにヒゲ生えてる所なんか想像できねぇっ。」


そうかなぁ。自分であごをさわってみる。


「やっぱり悟空さはヒゲなんてねぇほうがえぇだよ。今のまんまが一番だ。」


チチはニコリ とそう言うとオラの肩にもたれかかって来た。











<fin>








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