感情 ++
結婚して新しい生活が始まってしばらくたったある日。
いつもは修行で家を留守にしているのだが、今日はあいにくの雨のため
悟空は自宅でたいくつそうにしていた。
しかし、たいくつそうでありながらたいくつではない。床に座った
ままの悟空の目はさっきからチョロチョロと忙しそうに動いている自分の妻、
チチの姿を追っていた。
「悟空さ〜そこどいてけろ〜〜。」
山盛りの洗濯物を手に向かってくるチチ。悟空はどけと言われたのでソファーへと移動した。
無言でそれを見つめていた悟空は ふと何を思ったのか 立ち上がった。そしてパタパタと動き回ってる
チチのもとに向かった。
一方突然夫が近づいてきたのでビックリしたチチは、動きをとめて悟空を見つめた。
「?…なんだべ?悟空さどうした?」
「…いや…べつに…」
わけわかんねぇ。と笑いながらまた動き始めたチチを見下ろす悟空。
(…ちっこいなぁ…)
こんなにも小さい人間だったのだろうか。
そりゃあチチは自分とちがって"女"なのだから、体の構造や大きさが
違うことなのはあたりまえだ。悟空だってそれぐらいはわかるようになった。
しかし、ブルマに感じていた気持ちとは何かが大きく違う。
自分が修行でいない間も、こんな細い体で一生懸命家の仕事をしていたのだろうか…。
ドキッと胸がなった。すこし息苦しい。でもそれがなぜなのか、悟空にはわからなかった。
…ま、いっか。
難しそうなことは深くは考えない。そのうちわかるだろう、と
悟空はまたソファーに座りなおすのだった。
悟空の中で新しい 不思議な感覚が芽生えた瞬間。
<fin>